派遣料金を一部無料にする「思い切った施策」と広報の話
こんにちは。
シニアジョブ広報の安彦です。
今日、1本のプレスリリースを出しました。
なんと、60歳以上の派遣社員について、派遣開始から最初の1週間、派遣料金を無料にします。
派遣先の企業から頂戴する派遣料金を無料にしたとしても、当然、派遣社員の給料はシニアジョブから支払うので、その分はシニアジョブのコストとなります。
そのコストを負担してでも、企業の「シニア派遣社員を受け入れる」という心理的ハードルを下げたいという、かなり思い切った経営判断です。
リスクもあります。
1週間分の派遣料金を割り引いても、派遣の契約数が増加しなければ、その分売上が減ります。
コストとリスクを背負う覚悟を含んだ、割と重めの経営判断を背景にした施策なので、自然と広報施策上の期待値も上がります。
しかし!!
実はこうした施策、弊社のようなベンチャー企業の場合、広報的にはあまり即効性がありません・・・・
こうしたコストとリスクを背負った施策が広報的に有効なのは、下記のパターンとなります。
- 上場企業の場合
- 大規模なマーケットやシェアを有する企業の場合
- VCの資金が入っているような急成長中の企業の場合
早い話、「成長・成功」だけでなく、「失敗」が注目される場合に、リスク含みの施策は注目される傾向があります。
仮に失敗してもそこまで大きな影響が生じない弊社の立場では、この件のリリース1本だけでは、なかなか記事にならないのです・・・・
では、この施策のプレスリリースは無駄なのか?
そんなことはありません。
このパターンのリリースが効いてくるのは、少したったあと。
経験則上、こうしたリリースを出してから1ヶ月以上後に取材が発生した場合、間違いなくこの施策の現状について質問されます。
専門紙や専門媒体、一般紙やビジネス媒体の別に関係なく、です。
つまり、今回の「派遣料金無料」の施策で取材を狙うならば、ここから1ヶ月先あたりの別なリリースで、ということになります。
このあたりがベンチャーの広報で難しいところで、リリース内容は施策の開始や予定といった「新しいこと」である必要がある一方で、実際にベンチャーの取材で注目されるのは、成果とか結果とか経過だったりするのです。
成果や結果、経過だけをリリースにしても何も起きないんですけどね。
そのためベンチャーでは、過去のリリースを持ってメディア訪問したり、別途ニュースレターを送ったり、新旧情報を織り交ぜたリリースを出してみたりと、過去から現在までの情報の総力戦で挑むようなことになります。
こうした即効性が出しにくいことや、「今」や「未来」の情報が注目されにくいことで、単に知名度が低いとか、メディアリストが充実していないとかの理由だけでないところで、ベンチャーは記者会見等の施策が打ちにくくなっているのです。
それこそ不祥事でもない限りは、「今」や「未来」に注目してもらえないわけです。リスクを背負ったとしても。
というわけで、今回リリースを出した、60歳以上の派遣社員の派遣料金を1週間無料にする「シニアトライアル60」、これについての私の視点は1ヶ月後より先にあります。
その間の他の施策もいくつか決まっているものがありますし、さて、どんな結果が出るでしょうか?