広報と運
こんにちは。
シニアジョブ広報の安彦です。
今日、触れてみたいのは「広報と運」というテーマ。
アイキャッチ画像にこんなパワーストーンの画像を使ってみましたが、スピリチュアルな話をするつもりではありません。
当然、広報の成果を運のせいにして逃げようというつもりもないのですが、広報の仕事は他の仕事より、一般に言うところの「運」のような要素が大事なのではないかと思うのです。
では、その「運のような要素」とは、どんな分解ができるのか、何か努力が通用する部分はないのか、というのが今日のお話です。
たまたまサイトから取材依頼が来たら「運」?
例えば、コーポレートサイトが取材獲得の成否を左右する、ということは、広報パーソンの多くが頷くことだと思います。
記者さんがコーポレートサイトで見るであろうコンテンツは、会社概要やプレスリリース、事業内容、過去の掲載実績などでしょうか。
しかし、こうしたコンテンツで取材獲得のためのSEO対策などは、通常しないですし、取材の問い合わせをコンバージョンに定めたコンテンツの最適化なども聞かない話です。
せいぜい、こうしたコンテンツについて、汎用的な意味でしっかりしたコンテンツにしておくくらいでしょう。
そもそも、コーポレートサイトの訪問者において、報道関係者の割合は大きくないため、主要なユーザーだと想定していないと思います。
そのように何の対策もしていない中で、コーポレートサイトから取材の問い合わせが発生したならば、それは「運の要素が大きい」とは言えないでしょうか?
もちろん、ある程度、記者さんの検索キーワードは想像できます。
会社名、商品・サービス名、商品・サービスのカテゴリーや業界名、トレンドキーワードなどです。
仮に、そうした記者さん向けのSEO対策を強化したとしたら、コーポレートサイトから取材の問い合わせは増えるでしょうか?
おそらく増えないでしょう。
そうした導線を描く流入件数は、なくはないものの、無視していいレベルの少なさだからです。
もし、こうした努力しても報われない、再現性が高くないパターンから、まとまった成果が上がったならば、それは「運」にカウントされるかもしれません。
たまたま誰かが記者を紹介してくれるのは「運」?
再現性や効率は広報でも重要なので、通常は上記のようなサイトの強化を施策の中心には据えず、もっと記者個人へアクティブな接触を図ることでしょう。
しかし、対人コミュニケーションでも微妙な要素から取材につながることが多々あります。
私も実際にこの1週間で、他社の広報の方からメディアの方をご紹介いただくということが3回発生しています。
もちろん、普段から広報同士のつながりを大切にしていますし、こうした状況なので私からも積極的にメディアの方を他社の広報さんにご紹介しています。
直近で言えば、ご紹介してもらうよりもご紹介している件数のほうが多いかもしれません。
ただ、紹介し返してもらうことを前提に紹介しているわけではないので、こちらから紹介する努力をすれば成果につながる、というものではなく、ご紹介いただけるかどうかはそれこそ「運」のようなものではないでしょうか。
「運」の要素は分解できるのか?
Web上からの取材獲得と、対人コミュニケーションからの取材獲得の例から、「運の要素」が大きそうなお話を挙げてみました。
ここから「運のような要素」の分解を考えると、1つは
「タイミング」
というものに仮定できる気がします。
コーポレートサイトからの問い合わせにせよ、他社の広報さんからの紹介にせよ、確実に狙うわけではなくとも、ある程度、コンテンツや人間関係をしっかりと構築しておいた上で、「タイミング」が到来すると成果が発生する、と言えるのではないでしょうか。
しかし、「タイミング」だけでは、記者さんが「ここを取材したい」と思うにも、他社の広報さんが「紹介してあげたい」と思うにも不十分な気がします。
すると、
「人の気持ち、思考」
「競合の状況」
なども、手を触れにくい「運のような要素」と言えるかもしれません。
「たまたまそう思った」「その時、他社に興味を惹かれた」のような要素は、自分たちでコントロールしきれない要素です。
ではコントロールできない部分を減らす方法は、どんなものがあるでしょうか?
「運」の要素をなるべく絞る対策
月並みですが、一つはやはり
「トレンド」
を追うという対策でしょうか。
現在であれば「コロナ」とか「テレワーク」のような、記者さんが明らかに探していそうな情報のキーワードですね。
「トレンド」を追うことで、「タイミング」が合いやすくできます。
その他には
「要望・姿勢」
を示すというものがあるのではないかと、個人的には思っています。
これは説明すると、例えば、私が仮にとても好かれていて交流が広く、お付き合いのある方の中に記者さんとのつながりがある方がいたとしても、
「私が広報職で、会社の情報発信をしていて、取材してもらえたら嬉しい、記者さんを紹介してもらえたら嬉しい」
という情報が伝わっていなければ、誰も記者さんを紹介してくれないだろう、ということです。
・・・いや、もっと言えば、広報同士で記者さんを紹介し合うことが珍しくない、という情報を知らないと秘密にして教えない人もいるでしょうし、「要望・姿勢」だけでなくて、本当にたくさんの情報をお伝えしておく必要があるのでしょうけれど。
私は前述のとおり、当然取材は大歓迎(私だけでなくシニアジョブは社を挙げて大歓迎)ですし、広報同士の紹介も大歓迎で、自分からそれを発信しています。
ある意味、図々しいくらいかもしれません。
それで嫌われたら何も発生しないどころかマイナスですが、幸いその状況・情報から、ご紹介いただけることが最近多くあります。
「人の気持ち」をプラスにする手段ではありませんが、「人の気持ち」を動かすきっかけになるのではないかと思います。
例えば、
なども、そうした会社や広報担当の「要望・姿勢」を伝える場になると私は思っており、重視しています。
掲載実績が充実しているだけでも、取材を積極的に受け入れる会社だと思ってもらえるかと思います。
・・・十分に「運のような要素」の分解ができたわけではないですが、
- 基本の情報や人間関係の構築をしっかりしておく
- 会社や広報担当の姿勢や要望が伝わるようにしておく
- トレンドに沿った発信ができればする
- あとはタイミングを待つ
という準備をしておくことによって、本当に手を触れられない「運」としか言いようのない要素が絞られ、広報成果が出やすくなるのではないかと思います。