シニアジョブ広報ブログ

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「協力」という広報戦略

こんにちは。

シニアジョブ広報の安彦です。

 

先月末、こんなニュースが出ていたのですが、広報パーソンの皆さんはご覧になったでしょうか?

asagei.biz

 

アサ芸さんっぽい、無理やり艶っぽさを出したタイトルのせいで、内容が想像できませんが、実質的にはこれ、

匠大塚の秀逸なPR戦略の話。

こういう話は会社の広報ブログではなく個人の配信でやるべきかとも思ったのですが、広報ブログのほうがプライオリティが高いので、こっちで書いてしまいます。

 

 

■美術協力というPR戦略

匠大塚のPR戦略がどういうものかというと、

商品である家具をドラマの撮影現場に提供するというもの。

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ご存知のとおり、「大塚家具」の創業者である大塚勝久氏と、その娘の大塚久美子社長との間で経営権の争奪戦が行われ、その結果、破れた勝久氏が大塚家具を去って設立したのが、大塚家具創業から続いていた事業と接客の方針を残す「匠大塚」です。

大塚家具は久美子社長の手によって低価格路線に転じたものの低迷を続け、昨年ヤマダホールディングスの子会社となり、1年後の今年12月に久美子社長が退任することが10月末に報じられました。

一方の匠大塚は好調で、コロナ禍の中にあっても高級家具が売れ、今後も業績が伸び続けそうな状況です。

そして冒頭の記事によると、その好調の一因は、匠大塚のPR戦略にもあるそうなのです。

 

匠大塚はドラマとタイアップして、その商品の高級家具を「美術協力」という形で提供しているとのこと。

つまり、ドラマの中に登場する高級家具が匠大塚の商品で、

最後のクレジットに「美術協力 匠大塚」と出る

というわけです。

そして、その高い質感とセンスを視聴者に伝えた、ということなのです。

 

タイトルの「触りたくなっちゃう」は、ドラマ「SUITS」の主演の織田裕二さんが、匠大塚提供の何百万円もする家具に対して言ったセリフらしいのですね。

 

 

■制作協力・取材協力の種類を勝手に分類

この「協力」という名のメディア露出の方法は、割と広報界隈では語られている手法であるものの、「協力」できる企業が限られていたり、一部の「協力」はメディアがオープンにしたがらなかったりすることで、アプローチの話はあまり出てきません。

広報パーソンさんの間でもっとも話題になるのは、ロケ場所としてオフィスや保有施設を貸し出すタイプの「協力」ではないでしょうか。

 

私なりに「協力」のタイプをまとめてみました。

  1. 通常の取材の延長で、企画に全面的に協力する
  2. 番組に出演する形で、企画に全面的に協力する
  3. 調査データや専門知識などを提供する
  4. オフィスや店舗、保有施設をロケ場所として貸し出す
  5. 商品や保有資材を美術や小道具などとして提供する
  6. 出演する(取材を受ける)人物を提供する

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1つめの「通常の取材の延長で、企画に全面的に協力する」は、つまり「その企業ありき」の番組企画で、その企業がNOと言ったら消える企画への協力です。密着取材などですね。

これは企業の広報としても取りたい話で、アプローチも盛んで、あまり協力という言葉では語られません。

しかし、実際は、段取りや調整、準備などで広報も他部署も、ものすごく大きな労力を強いられます。

 

2つめの「番組に出演する形で、企画に全面的に協力する」は、社長や他のスター社員が番組に出演するもので、出演の仕方にもいろいろある上に、企画はメディア側で立ててそれに見合うキャストを充てるために、やはりアプローチが難しいパターンです。

スター社員の発掘やその情報の整理、定期的なメディアへのアプローチなどが必要と言われています。

 

3つめの「調査データや専門知識などを提供する」は、よくある「調査レポートのリリース」を出す戦略ではなく、番組内でデータや意見が必要な場合に提供するパターンです。

もっとも基本的には「調査レポートのリリース」を出すアクションになるのですが、ストレートニュース以外でどのように番組に採用されるかの戦略も必要になります。

 

4つめの「オフィスや店舗、保有施設をロケ場所として貸し出す」は、前述のとおり時折広報の勉強会などで語られますが、提供可能なことをサイトで明示する、移転パーティーを開く、取材可能なイベントを開くなどの基本的なアプローチ以外には、太い人脈がなければ有効打の少ないパターンと言えます。

 

5つめの「商品や保有資材を美術や小道具などとして提供する」が匠大塚の戦略ですが、これまた難易度の高い戦略で、そもそも新商品のリリースすら記事にしてもらえずに苦しんでいるのに、どうやって実現するのか頭を抱える戦略です。

 

6つめの「出演する(取材を受ける)人物を提供する」は、メディアと企業でもっともWin-Winの関係を築きにくいパターンで、成功しても社名が出にくく、広報がメディアとの関係構築するために使われやすい手法です。

例えば、事業に全く関係ないネタで取材する人物を、企業広報の手伝いでその企業の社員から紹介するので、企業のメリットも少なく、メディアも伏せがちです。

 

 

■なぜメディアに協力するのか?

ちなみにシニアジョブとしては、3つめ、そして大きな声では言えない6つめのパターンで露出した実績が多いですね。

データの提供はそこまで強くないのですが、「シニアに特化した転職支援」というポジションで高年齢者雇用安定法や年金の改正など政策の動向にまで突っ込んで話をできる企業が少なく、そうした内容でコラムの連載などをしまくっているので、オファーを頂戴しています。

例えば、下記11月19日開催のウェビナーなどもあまりないテーマですよね。

prtimes.jp

 

一方、Win-Winになりにくい社員の取材協力を受ける理由は、メディアの方との関係構築もあるのですが、それよりも

「そうした露出イメージを発信し、次のオファーにつなげる」

ことを主目的にしています。

つまり、そもそも普通にしていればメディア出演することのない社員を売り込む第一歩、また、メディア出演OKの企業イメージ構築として活用しています。

 

これは何度か語っている持論なのですが、

「露出を実現するには、その前に露出イメージがわかる別の露出を実現しておく」

ことが重用だと思っており、上記すべての制作協力の手法も同様に、別の協力やオウンドメディアで露出を実現しておくことや、関係構築をしておくことがカギだと思っています。

 

ちなみに敗者のように語られる大塚家具も、美術協力の手法は用いています。

あの半沢直樹の美術協力をやったというので、知名度や単発の効果としてはむしろ高かったのかもしれません。

 

しかし、低価格路線とのイメージの乖離もありそうですし、高級路線でスーパーカーやファッションショー、画展などとのコラボを次々打ち出せる匠大塚に比べると、マッチしたユーザーやそのユーザーに合ったメディア関係者を呼ぶ力は弱かったように感じます。

もっとも弊社も多数のテレビ関係者を呼べるようなコンテンツは少なく、それで苦労しているわけですが。

 

シニアジョブでも制作協力に関する次の一手は既に始動しています。

お楽しみに!

 

 

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