コロナ復興期を米国の動きから考える
こんにちは。
シニアジョブ広報の安彦です。
新型コロナウイルスの感染防止のため、世界各国では様々な規制が行われていますが、対策が功を奏した国の例も出始めています。
また、一部の国では、経済再開に向けて規制緩和を模索する動きもスタートしてます。
オーストリアやデンマークに続き、欧州ではドイツが、そしてアメリカも規制緩和の検討に入っています。
今後、日本ではどんな経済の再生が行われていくのでしょうか?
アメリカの動きをもとに、私見を交えてまとめてみたいと思います。
感染検査と抗体検査
規制を緩和し、経済を再生するにあたり、アメリカに限らず実施の検討がされているものが、感染検査の徹底と抗体検査です。
(参考)
ロックダウンからの「出口戦略」、「免疫獲得証明書」を発行とその問題点とは | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
見えてきた米国のコロナ出口戦略、いかに規制を解除し再始動していくのか 米国の動向から読み解くビジネス羅針盤|ビジネス+IT
感染判定の検査を定期的に実施し、感染者以外が行動制限を解除される、あるいは抗体検査を実施して、抗体を持った人だけが行動制限を解除される、といった施策によって、行動制限を解除する人を選び、経済を再開していくというもの。
しかし、抗体ができると本当に免疫が機能し、再感染しなくなるのか?といった疑問がありますし、また、その範囲が全国民なのか、職種などで限定するのか、といった問題もあります。
日本の現状と照らし合わせて考えると、そもそも日本では行動制限が「自粛」のレベルで強制力がないため、行動制限の解除という概念も諸外国とは異なる上、解除のみを厳格に行うこと自体が難しいのではないかと思われます。
また、PCR検査もようやく専門外来の設置要請など強化が始まった状況のため、規制解除に向けてさらに検査数を増やすことにもハードルがありそうです。
しかし、日本では健康診断が事業者に義務付けられており、業種によっては検便なども義務付けられているため、この手法を応用して感染検査や抗体検査が行われる可能性も考えられます。
地域ごとの規制緩和
アメリカでは州ごとにリスクを評価し、規制緩和を行う構えのようです。
(参考)
米欧、経済再開へ出口探る 外出制限緩和の指針策定へ (写真=AP) :日本経済新聞
見えてきた米国のコロナ出口戦略、いかに規制を解除し再始動していくのか 米国の動向から読み解くビジネス羅針盤|ビジネス+IT
日本について言えば、そもそも緊急事態宣言の段階で、その対象は7都府県であり、それ以外の地域は独自に宣言などを行なったところを除き、大きな規制は生じていません。
規制の段階から地域ごとに分けた戦略であり、解除も地域ごとに行われると思われます。
しかし、日本の問題としては、新型コロナ感染拡大の前から言われていたことですが、首都への人口や産業、政府機能の集中が強く、首都圏以外の地域が活発に動けるようになったとしても、経済が大きく再開したと言えないことがあります。
むしろ、東京の企業の動きによって地方の経済が引きづられたり、地方が活発化したことで東京の本社も出社しなければならなくなったりという状況になることが考えられ、結局は首都圏の動きが再開しなければ、完全な経済の再開に至らないのではないかと思われます。
業種ごとの規制緩和
ビジネス+ITの記事によると、アメリカでは医療機関、食料品店や警察、農家など市民生活に不可欠な組織の必須業務に従事する者の規制緩和が行われるようです。また、カーネギーメロン大学で公共政策を教えるジョナサン・コールキンズ教授の話として、その次の緩和候補の業種に、従業員の密接度が比較的低い、製造業と建設業を挙げています。
また、日経新聞の記事では、ドイツがアパレル店の営業を解禁すること、同じく日経新聞の記事で、スペインが製造業の再開を、イタリアが書店の営業を解禁したことなどが報じられています。
これもまた、日本で同じような道筋を歩むかは微妙に思えます。
日本では、製造業も業種によって現在も稼働を続けていますし、建設業もゼネコン大手では西松建設と清水建設が工事の中断を宣言したのみで、他の会社は継続する動きです。
もちろん日本でも、トヨタ自動車など製造大手が工場の稼働停止や生産調整を行うなど、影響は少なくありませんが、むしろ、明確に自粛や休止が行われている小売業や飲食店、イベント、学校などの、あるいはサービス業の従事者を含めた一般の人の、自主の緩和タイミングとその方法が重要であるように思えます。
一方で、製造業でも建設業でも飲食でも、輸出入に関わる産業や、原材料を輸入する産業は今後の世界各国の動向次第と言えます。
特に観光に関しては、影響が甚大であると思われます。
人材に関しても、採用活動にまで支障が出たことで21年卒の新卒採用は停滞していますし、これまで売り手市場だったものが景気の減速に従って一時的に買い手市場になっています。
しかし、海外人材の獲得が減速することで、近い将来、さらに人材不足が深刻化することが予想されます。
産業の盛衰によっても、人材の受給バランスが大きく変動するため、どの業種がどのようになるとは一概に言えませんが、新型コロナからの復興期には間違いなく、人材不足が起こると考えられます。
シニアジョブが提供しているシニア人材紹介も含めて、非常に激しい動きがあることは間違いないと言えます。
シニアジョブが行ったアンケート調査でも、3月末から4月頭の調査とは言え、5割の企業が「今すぐ人材を採用したい」と回答しています。
今回の経済への影響はヒトの感染症が原因であるため、規制緩和も経済再生も、すべて人の動きに関わりますし、企業的な言い方をすれば、採用であり人事の分野となります。
人材に関わる企業としては今後も、この新型コロナからの復興を注意深く見守っていきたいと思います。